助成金事業報告


【正力厚生会 2022年度助成事業報告】

~癌患者家族のためのグリーフケアカフェの開設~

 

 

2022年度の正力厚生会助成金事業に採択して頂き、「癌患者家族のためのグリーフケアカフェの開設、癌患者さんのための帽子づくり」を行なうことができました。

 

【わたしたちの活動】

15年間にわたり介護者の会や認知症カフェを開催してきた中で、癌で闘病する要介護者・介護者・支援者やその家族との関わりが増えたことで、看取りを経験したご家族のグリーフケアと社会からの孤立防止の必要性を実感するようになりました。一方、癌患者や家族に手作り帽子を贈る活動を始めて5年が経過し、帽子の制作に、看取り後の家族の参加が見られる様になりました。そこで、看取り後の家族の社会参加の活動を継続しながら、ピアで語り合うグリーフケアカフェの開設に着手しました。

 

【カフェの開設】

前年度から、グリーフケアカフェの担い手として、自身も看取りを経験し、基礎研修を受講したピアサポーターの養成を行ってきました。2022年4月より、3名のピアサポーターが、介護者の会に参加されていたご家族や、地域包括支援センターからの紹介などを受けた介護者の方と、少人数で胸の内を語るグリーフサポートカフェを始めました。コロナ禍ではありましたが、9回で延べ47人(各回3~7名)が参加され、現在も毎月1回開催しています。

並行して、4月から12月までに計8回、癌患者や家族を支える活動を次世代へ繋ぐ人材育成のために、専門職による研修を行い、カフェの安定的な運営を目指してきました。

 

【手作り帽子を癌患者さんや高齢者へプレゼント】

現在、手作り帽子の制作は、毎月1回のサロンで行ない、制作した帽子は、病院・施設、震災被災地(陸前高田、熊本阿蘇)、個人の方々などに寄贈しています。一連の活動は、看取り後の家族のグリーフワークのみならず、看取り後の家族の生きがいづくり、地域の居場所づくりになっています。(2022年4月~12月まで 652枚寄贈)

 

【みなさんの声】

★カフェ参加者

「ひきこもってしまいそうな処を参加できて救われた」、「一人になってしまった。話をする場所が必要」「自分の今後のことも考えたい」など切実な声が聞かれます。ピアサポーターの活動に興味を持ち、研修を受講された方も2名いらっしゃいました。 

★研修参加者

「研修の講師をお願いした癌専門看護師・グリーフケアアドバイザーに、継続して研修を受けたい。」 「会やピアサポート活動に意義や興味を感じる」「ピアサポートの難しさも感じている。」「会の継続と質の向上を目標にしたい」 など、自分たちの活動を振り返る、熱意あふれる研修となりました。

★帽子づくり(手仕事サロン)参加者

中学生から90代の方までが、毎月1回楽しみながら帽子の制作を行い、毛糸などの材料の寄付、自宅での作業なども含め、引き続き意欲的にボランティア活動を行っています。 本年4月~12月まで 延べ91人が参加されました。

 

【今後の活動】

看取りを終え、介護生活の中で孤立感を深めていた方が、グリーフサポートの会のみならず、地域の資源を知って活用し、社会生活を取り戻すきっかけを見つけられる様願っています。助成金を頂き、活動を進めることができたことに、感謝申し上げ、地域と

の連携や社会的な孤立防止の啓発も視野に入れて、グリーフサポートの会及び手仕事サロンを継続して参りたいと考えます。

 

*尚、「グリーフサポートの会」の呼称は、専門職がカウンセリング等を行う「グリーフケア」ではなく、ピアの立場での関わりを基本にしているため、「グリーフサポート」としています。

 

NPO法人杉並介護者応援団

手仕事サロン 一同